首の症状

頚椎椎間板ヘルニア

頚椎椎間板ヘルニアは、首の骨を支える役割を果たしている椎間板が後ろに突出することで発生します。姿勢の悪さや過度の運動などが原因となることが多いですが、特に原因が思い当たらない場合もあります。
主な症状は、首や肩の痛み、腕や手のしびれで、症状が進行すると手の動きが制限され、以前できていた動作などが難しくなることがあります。

頚椎症性脊髄症

頚椎症が進行すると、椎間板が膨張したり、骨のとげが形成されたりすることがあります。これにより頚椎内の脊髄が圧迫される状態が「頚椎症性脊髄症」と呼ばれます。
主な症状としては、手のしびれがあります。例えば、お箸の使いづらさやボタンがかけにくくなる、字が書きにくくなる、歩行時に頻繁に足を取られるなどの日常生活に支障をきたす症状が現れる場合があります。

頚椎症性神経根症

40代以降になると、肩から腕にかけての痛みが現れることがあります。腕や手指にしびれを感じることも多く、痛みの程度は軽度から耐えがたいほど強い場合までさまざまです。
一般的に、頚椎を後ろに反らせることで痛みが増すため、上を向くことやうがいをすることが困難になります。
さらに、上肢の筋力低下や感覚異常が現れることもあります。

後縦靭帯骨化症

後縦靭帯という、背骨の後ろを縦に走る靭帯が骨化してしまう病気です。この靭帯が骨になることで、脊髄が通っている脊柱管が狭くなり、脊髄やその周りの神経が圧迫され、感覚の異常や運動の障害が現れます。
骨化が起こる部位によって、頚椎、胸椎、腰椎の後縦靭帯骨化症として分類されます。

肩の症状

肩こり

首の後ろや首の付け根から肩や背中にかけて、張ったり凝ったり痛みを感じることがあります。これに頭痛や吐き気を伴うこともあります。
肩こりに関わる筋肉はいくつかありますが、特に首の後ろから肩、背中に広がっている僧帽筋という筋肉が大きな役割を果たしています。

翼状肩甲骨(翼状肩甲)

腕をあげるときに肩甲骨の内側の縁が浮きあがり、まるで天使の羽や折りたたんだ鳥の羽のように見えるため、「翼状肩甲骨」と呼ばれます。
正常な肩では、腕を90度以上持ちあげると、肩甲骨が前にすべるように動き、下の角が上に回るように動きます。この動きは、前鋸筋や僧帽筋といった筋肉が関わっています。しかし、前鋸筋が麻痺すると、肩甲骨の内側の縁が浮きあがり、腕を前にあげることができなくなります。

五十肩(肩関節周囲炎)

肩関節周りの組織に炎症が起こる状態で、主に老化が原因で発症します。
特に中年以降、50代に多く見られますが、40代でも発症することがあります。肩に痛みが生じると、髪を整えたり、服を着替えたりするのが不便になります。夜間に痛みが強くなり、眠れないこともあります。
肩を動かすと痛みが出ますが、動かさないままでいると症状が悪化するため、適切なリハビリテーションが大切です。

肩腱板断裂

肩腱板断裂は、転倒して手をついたり肩を強打したりしたときに多く見られますが、特に50代〜60代では自然に腱板が切れて肩に痛みが出ることもあります。
腱板は肩関節を安定させるための4つの筋肉の集まりで、これらの筋肉の一部は骨の間を通っています。使い過ぎや老化により、この部分がすり減ったり弱くなったりして切れやすくなります。そのため、はっきりとした原因がなくても、日常生活の中で腱板断裂が起こることがあります。

腰の症状

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎の椎間板は、背骨の間で衝撃や体重を吸収する役割を持っています。
この椎間板が変形して神経を圧迫すると、腰やお尻の痛み、足のしびれや痛みが出て、足の力が入りにくくなります。通常は消炎鎮痛薬を飲んで安静にしていれば症状は和らぎますが、完治したわけではないため、整形外科での治療を受けることをおすすめします。

腰部脊柱管狭窄症・腰椎変性すべり症

脊柱管狭窄症は、脊髄の神経が通る部分が狭くなっている状態です。
中高年になると、椎間板が変性し、脊柱管内の黄色靭帯が厚くなることで、神経が圧迫されて痛みなどの症状が現れます。ただし、初期段階では症状が続くことは少なく、歩くと下肢に痛みやしびれが出ますが、しばらく休むと痛みが和らぎ、再び歩けるようになります。また、腰椎変性すべり症でも似たような症状が現れますが、こちらは腰椎がずれて脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されることで痛みやしびれが生じます。

変形性股関節症

変形性股関節症は、関節の痛みと動かしにくさが主な症状です。立ちあがるときに痛みが強くなり、初期段階では歩けますが、時間が経つにつれて痛みが増し、歩くことが難しくなります。爪を切るのが大変になったり、靴下を履くのが困難になったり、手すりを使わないと階段を昇れなくなることもあります。この病気の主な原因は、先天的な股関節脱臼や股関節の形成不全による後遺症です。乳児健診で股関節の開きが制限され、整形外科で診断を受けたことがある方は、変形性股関節症になるリスクが高いため、定期的に医師の診察を受けることが大切です。

臼蓋形成不全

臼蓋は股関節の大腿骨を受ける部分で、骨盤側にあるくぼみです。臼蓋が浅い状態を「臼蓋形成不全」と言います。
小児期の臼蓋形成不全は超音波検査やX線検査で確認できますが、通常、目立った症状はありません。
しかし、大人になると変形性股関節症になるリスクが高まり、この病気が進行すると股関節の痛みや動きに制限が出てきます。

手の症状

ばね指(弾発指)

指を曲げたり伸ばしたりするのは腱のおかげですが、強い力を使うために前腕の筋肉が働き、その力が腱を通じて指に伝わります。
指を曲げる腱を支えているのが「靭帯性腱鞘」で、これはベルトとベルト通しのような役割を果たします。この靭帯性腱鞘は指の部分にあり、指の付け根部分に力がかかりやすいです。この部分で腱や腱鞘が炎症を起こすと、腱鞘炎になり、進行すると指が引っかかる「ばね現象」が起こり、これが「ばね指」と呼ばれます。

母指CM関節症(親指の付け根の関節の変形性関節症)

物をつまんだりビンのふたを開けたりするような動作で、親指の付け根付近に痛みが生じます。
症状が進行すると、その部分が膨らんできて、親指が開きにくくなります。
また、親指の先端部分の関節が曲がり、付け根の関節がかえって、いわゆる「白鳥の首」のような形になります。

へバーデン結節

各指には3つ~4つの関節がありますが、へバーデン結節はその中でも指の第1関節(爪の近く)が腫れたり、変形して曲がったりする病気です。
この病気は痛みを伴うことがあります。原因ははっきりしていませんが、40代以降の女性に多く見られます。

橈骨遠位端骨折(コレス骨折・スミス骨折)

橈骨遠位端骨折は、手をついて転んだり、自転車から転倒したりしたときに起こりやすいです。
特にお子さまや高齢者の方は、軽い衝撃でも骨折することがあります。
軽度の場合、患部を固定するだけで治療できますが、骨が粉砕して修復が難しい場合は、手術が必要になることもあります。

肘部管症候群

肘に繰り返し負担をかけることで、尺骨神経が圧迫されることがあります。初めは小指と薬指の一部にしびれが感じられますが、進行すると麻痺が強くなり、手の筋肉も弱くなります。その結果、小指と薬指が変形することがあります。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

物をつかんで持ちあげたり、タオルをしぼったりするような動作をすると、肘の外側から前腕にかけて痛みを感じることがあります。
この症状は、特に中年以降のテニスをする人によく見られるため、「テニス肘」と呼ばれています。しかし、最近ではデスクワークなどで腕を使い過ぎたことが原因でこの症状が現れることも増えています。
テニス肘は、肘の外側にある短橈側手根伸筋という筋肉が炎症を起こすことから生じると考えられています。

ひざの症状

変形性膝関節症

変形性膝関節症は、ひざを使う際に痛みを感じる病気です。特に立ちあがるときや歩き始めに痛みが生じ、正座や階段の昇り降りも難しくなります。症状が進行すると、安静時にも痛みが続き、最終的には歩けなくなることもあります。
主な原因は、ひざの関節軟骨の老化です。加齢に伴って軟骨が弾力を失い、摩耗していくことで、膝関節が変形します。骨折や靭帯損傷、半月板損傷の後遺症が原因となることもあります。

半月板損傷(半月損傷)

半月板は膝関節の中にあるクッションのような役割を持つ組織です。ひざにかかる衝撃を和らげ、ひざを曲げ伸ばしする際に下肢を安定させる役目もあります。半月板が損傷すると、ひざを動かすときに痛みや引っかかりを感じることがあります。
症状が進むと、ひざに液体がたまったり、ひざが突然動かなくなったりすることもあります。痛みが強くなると、歩けなくなることもあります。

膝靭帯損傷

スキーやサッカーなどひざに負担がかかるスポーツや、交通事故などでひざに強い力が加わると、靭帯が損傷することがあります。
事故やスポーツで受傷した後、最初の3週間はひざが腫れて痛みが強く、動かすことが難しくなります。しかし、急性期を過ぎると痛みや腫れ、動かしにくさは少しずつ治まります。症状が改善しても、損傷した部位によってはひざが不安定になり、ぐらつきを感じることがあります。

膝離断性骨軟骨炎

初期では、運動後に不快感や鈍い痛みがある程度で、特に目立った症状はありません。しかし、関節軟骨に亀裂や変化が生じると痛みが強まり、スポーツに支障をきたすことがあります。
軟骨片が剥がれると、関節の引っかかり感やずれる感覚が現れ、大きな軟骨片では「ゴリッ」という音がすることもあります。

足の症状

外反母趾

この病気では、足の親指が人差し指の方向に「くの字」に曲がり、親指のつけ根の内側が突き出して痛むのが特徴です。突き出した部分が靴に当たることで炎症を起こし、悪化すると靴を履いていなくても痛みを感じるようになります。
以前は靴文化が長い欧米に多く見られましたが、最近では日本でも急速に増えています。

扁平足

幼少期から足裏が平らな「先天性扁平足」の場合、通常は痛みを伴いません。一方、中年以降に発症する「後天性扁平足」では、内くるぶしの下が腫れて痛みが出るのが特徴です。初期段階では足の平らな形は目立ちませんが、徐々に変形が進みます。
つま先立ちが難しくなり、さらに進行すると足が硬くなり、歩行に支障をきたします。

足底腱膜炎

かかとから足の指の付け根まで伸びる足底腱膜が炎症を起こし、かかとや土踏まずに痛みが出る状態です。
ジョギングやマラソンなどをしている方によく見られ、足底腱膜に繰り返し負荷がかかる動作が原因となります。
また、スポーツをしていない方でも、中高年や長時間立ち仕事をしている方に発症しやすい疾患です。

腓腹筋断裂(肉離れ)

筋肉の一部が切れてしまった状態を「肉離れ」といいます。スポーツ中にダッシュするなど、筋肉が急激に縮む動作で発生することがあります。
通常、筋肉はその負荷に耐えられますが、準備運動をしっかり行わないと起こりやすくなります。
特に、大腿部の裏側やふくらはぎの内側で発生することが多いのが特徴です。

足関節捻挫

足関節捻挫とは、足首の靭帯や関節包が傷ついた状態を指します。多くの場合、足首を内側にひねったときに外側の靭帯が損傷します。
捻挫は日常生活でもよく見られますが、特にサッカー、バスケットボール、バレーボールなどのスポーツ中に発生しやすいです。